【文献】早期のトリプルネガティブ乳がんへのペムブロリズマブ

NEJMに最近(2020/02/27)掲載された,ペムブロリズマブ(キイトルーダ®︎)の乳がんの第3相試験の論文です.
2020年3月時点ではまだ適応がありませんが,今後追加されるのでしょうね.
乳がんはタイプによって薬物治療が使い分けられ,トリプルネガティブ(ホルモン感受性,HER2共に陰性)は選択肢が少ないため頼もしい治療法の追加になると嬉しいです.

病院勤務時代にも,肺癌や腎細胞癌などでキイトルーダで治療されている患者さんはとても多かったです.
多剤併用治療が主流になってきており,ICI特有の副作用は頻度が少ないものの,
いわゆる化学療法の副作用と合わさるとコントロールが困難であることが考えられます.
安全面のモニタリングが今後もとても重要ですね.

Pembrolizumab for Early Triple-Negative Breast Cancer.早期のトリプルネガティブ乳がんへのペムブロリズマブ

背景

過去の試験においてペムブロリズマブの,早期のトリプルネガティブ乳がん患者への前途有望な抗腫瘍効果と受容可能な安全性プロファイルが示された.

術前化学療法へのペムブロリズマブの追加が,早期のトリプルネガティブ乳がん患者の根治術時の病理学的な完全奏効(乳房への浸潤がんが無く,リンパ節陰性と定義)を有意に増加させるかどうかは不明である.

方法

この第3相試験では,未治療のステージIIもしくはステージIIIのトリプルネガティブ乳がん患者を,受ける術前化学療法でランダムに割り付けた(2:1の比).

・3週ごとのペムブロリズマブ(200mgの投与量),パクリタキセル,カルボプラチンを4サイクル行う群(784名,ペムブロリズマブ-化学療法群)
・3週ごとのプラセボ,パクリタキセル,カルボプラチンを4サイクル行う群(390名,プラセボ-化学療法群)

そして,この2群は追加でそれぞれペムブロリズマブかプラセボを4サイクル受け,
どちらの群もドキソルビシン-シクロホスファミドかエピルビシン-シクロホスファミドを投与された.

根治術の後,患者は3週ごとのペムブロリズマブかプラセボの術後療法を9サイクルまで受けた.
主要評価項目は根治術時の病理学的な完全奏効と,
ITT集団(治療の実施不能や続行が不可能になった患者全てを含めて解析する)の無イベント生存率である.

結果

最初にランダム化された602名の患者の最初の中間解析では,病理学的完全奏効の患者の割合は,

・ペムブロリズマブ-化学療法群では64.8%(95%信頼区間:59.9-69.5)
・プラセボ-化学療法群では51.2%(95%信頼区間:44.1-58.3)

予測された治療差は,13.6%(95%信頼区間:5.4-21.8,P<0.001)であった.

観察期間の中央値である15.5ヶ月(rangeは2.7-25.0)では,

・ペムブロリズマブ-化学療法群で784人中の58人(7.4%),
・プラセボ-化学療法群では360人中の46人(11.8%)

が,根治術が適応にならない増悪,局所的あるいは遠隔再発,続発性の原発腫瘍,なんらかの原因の死亡があった(ハザード比:0.63,95%信頼区間:0,.43-0.93).

全ての治療フェイズにおいて,グレード3以上の治療関連有害事象の発生率は,

・ペムブロリズマブ-化学療法群では78.0%
・プラセボ-化学療法群では73.0%

であり,関連死はそれぞれ0.4%(3名)と0.3%(1名)であった.

結論

早期のトリプルネガティブ乳がん患者において病理学的な完全奏効は,
ペムブロリズマブ+術前化学療法群で,プラセボ+術前化学療法群に比較して有意に高かった.

まとめ

今回は,ペムブロリズマブのトリプルネガティブ乳がんへの術前投与についての論文を読みました.

完全奏効率から見ても,最終的に手術が適応で無くなってしまう率から見ても,
有効な治療レジメンですね.

実際の論文ではおそらく,PD-L1の発現率など重要な背景データも書かれているでしょうから確認が必要です.

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