【文献】日本における前立腺生検後の感染の発生について

本日は病院勤務時代に読もうと思い,結局アブストラクトすらろくに読んでいなかった文献になります.
泌尿器科の検査の代表的なものの一つである,前立腺生検について.前回同様アブストラクトのみです.

手術・処置時の予防抗菌薬の管理の問題


病院で抗菌薬適正使用を考える立場になると,ほぼ確実にぶち当たる壁の一つが手術・処置時の予防抗菌薬だと思います.

私の所属していた施設では,感染症専門医もおらずICDも感染制御チームもあまり積極的に指揮を取るタイプではありませんでした.
なので予防抗菌薬については院内ルールなども存在せず各診療科(あるいは各担当医)の自由となっておりました.
私がICTを担当するようになってから,予防抗菌薬の管理の一環として採用薬の整理を行おうとしましたが…….
まさかの同職種から背後から打たれるようなことが起こったのですが.それはまた別の機会に.

Occurrence of infection following prostate biopsy procedures in Japan”日本における前立腺生検後の感染の発生について”

前立腺生検時の予防抗菌薬についての論文になります.
Occurrence of infection following prostate biopsy procedures in Japan

方法

2011年1月から12月までにJRGU(UTI共同研究会)に属する計46施設で,経直腸的あるいは/かつ経会陰的な前立腺生検を受けた5,895人の患者泌尿生殖器感染の発生の後ろ向き研究を行った.

結果

前立腺生検後の泌尿生殖器感染の全体の割合は0.76%であった.
経直腸的前立腺生検後では0.83%,経会陰的前立腺生検後では0.57%であった.両者に有意差は認めなかった.
対照的に,38度以上の発熱を伴う感染では経直腸的の方が経会陰的生検よりも有意に頻繁に生じた(0.71% vs 0.16%  P = 0.04%),

特に感染例では大腸菌が最も分離された.9例で大腸菌種が尿培養から分離され,6例(66.7%)がESBLを産生し7例(77.8%)がレボフロキサシン耐性を示した.
同様に6例で大腸菌が血液培養から分離され,4例(66.7%)がESBLを産生し,6例(100%)がレボフロキサシン耐性を示した.

経直腸的あるいは経会陰的前立腺生検を受けた患者のレボフロキサシンによる感染予防の効果を,


・500mg単回投与
・1回500mg反復投与

で比較すると,感染率において有意な差は観測されなかった(経直腸:0.82% vs 1.04%. P = 0.94 経会陰:0.30% vs 0.46% P = 0.68).

結論

レボフロキサシンの単回投与による感染予防は,経直腸的あるいは経会陰的前立腺生検後の泌尿生殖器感染を防ぐために十分と考えられる.

病原体の多剤耐性が進んでいるこの状況では,フルオロキノロン耐性大腸菌とESBL産生大腸菌の増加はサーベイランス上重要な問題となっている.

まとめ

アブストラクトを読む目的

今回もアブストラクトのみの紹介となりました.
2回続けてアブストラクトの紹介記事を書いて,考えたこととして

アブストラクトだけだと試験の概要がわからない.

当たり前のことですが,改めて感じました.
現在の自分の目標はアブストラクトだけでも多くの論文を読んで英語論文を読むことに慣れ,そこで触れた知らない知識をまとめていくことにあります.
こんなことは臨床でやっておくべきことではあるのですが,残念ながら私はそこをスルーして過ごしてきてしまったため今身につけようとしているところです.

アブストラクトから生じた疑問点

今回のアブストラクトを読んで考えたこととしては,

何割が単回投与で,何割が反復投与であったのか.

患者群の割合は?

使用した抗生剤はレボフロキサシンだけだったのか?

ESBL産生大腸菌,フルオロキノロン耐性大腸菌の治療はどうしたのか?

使用した統計検定は?

術式の選択の基準は? 同じ術式の中で投与方法によって感染率に差はあったのか?

反復投与においては腎機能に応じて投与量の調節は行っていたのか?

生検結果のがんの有無で感染率に差があったのか?

こんなようなことが疑問点として上がりました.
フルテキストを読むことで解決される疑問ばかりだと思いますので,大学の図書館などに行き読んでみたいと思います.

今回はアブストラクトを読み,フルテキストでなければわからないこと疑問点をあげていことにフォーカスを当てた記事でした.

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